蛍雨

夏に草原で蛍を見て
蛍の魅力に酔いしれる
秋が深まる頃には姿を消したものの
また見てみたい衝動に駆られる

常夏と噂された秘境へ
旅立ち日が暮れる頃に辿り着いた

秘境では噂されていた通り
蛍の姿を見掛ける事が出来
心身共に満たされ
また精霊とも久々に語らう事が出来た

還りし時に極稀に見る雨に遭遇した
きっと最近の不条理ともいえる世界に
天も憂いているのだろう

社へ赴き行く末を憂い祈りを捧げる
社の精霊より新たな未来の創造を任された

未来は自ら創るもの
古えの頃にそう教えられ
当時は理解出来なかったが
今思えばこれが伏線かなと
社から帰りし頃に漸く気が付く

新たな未来への決意を込めた時
精霊と蛍が微笑む姿を見た
現世に戻る頃赤闇は消え
辺り一面に嘗て見た青空が
澄んだ空気と穏やかな風が
再びこの地に幸せを齎し
人々の心に平穏を取り戻していた
新たな未来が始まろうとしている
幸せな未来が訪れる事を実感した頃
自らの心にも平穏が訪れ
久々に笑顔を取り戻す