「詩」カテゴリーアーカイブ

秋雨

秋が深まる頃
いつしか雨音が聞こえる
外から家へ帰途を急ぐ

寒さからかいつもより増して
雨音を敏感に感じ取る

雨が鳴り止んだ頃
外を見上げると
雨が降っていたのが嘘かのように
雲一つ無い秋晴れが見えた
そう今日は唯一雨の無い日

秋晴れの日はもうすぐ近くまで来ていた
永遠の秋晴れはこの日漸く訪れる

赤闇

赤き闇に囚われ
捕囚の日々を過ごす

心から呪縛が解き放たれず
身体さえも呪縛されたまま

空を見上げた
数年前までは青い空だった空も
今では赤い空しか見えない

夜になるにつれ
赤みを増す空
救いは最早二度と訪れない

一切の言論も自由も奪われた
魂さえも囚われる地獄ともいえる世の中
まさに生き地獄といえよう

嘗て祠と社があった場所へ
魂が向かう
我々は最早見捨てられてしまったのか

そう自問自答を繰り返し
魂は嘗ての社へ辿り着く

精霊さえも既に姿を消し
あるのは修羅と化した異形の者達

二十数年前の出来事さえ無ければ
修羅と化す赤闇の世界は訪れなかっただろう

元の世界へ返り咲きたいと願っても
今更手遅れ救われる価値などもう何処にも見当たらない
赤闇とは自らが創りだした負の心
自らも修羅と化す
微かにも残っていた人の心は今宵全て消え去り
全てが修羅と赤闇と化す

巡礼

秋から冬へと変わり
冬から春へと変わりゆく
今朝、魂は巡礼の旅を始める

旅中に聖なる祠を見付ける
祠に記載されていた文字を読み
今後、自らは何をすべきかを悟る

太古の頃、此の地には聖地があった
清く正しく過ごせていた時は正に楽園といえる地で
争いや不満などは何処にも無かった

今は荒み荒れ果てた荒地があるのみ
新たな聖地と甦えさせる為
此の地の浄化を始める

浄化が終わりし頃
魂の巡礼も終わりを迎える
清らかで爽やかで穏やかな心を持った其の時
新たな幸せが自身と新たな聖地へ訪れる

聖地

聖地に向かう魂
行き着く先さえ見通せず
先の無い未来に見切りを付けて

魑魅魍魎とした現世を離れ
暫しの安らぎを求めて聖地へ向かう
聖地と呼ばれた場所は既に廃墟となり
聖なる影などもう何処にも無かった

此の世で安らぎを得られる場所など
もう何処にも無い
全て絶望に浸る魂に最早為す術は無い
消えゆく希望と未来に
最早期待する術は無い

終わりを迎える其の時に漸く悟る
聖地を求めていた心と身体に問い掛ける
聖地とは自らが創りだした虚像だと言う事を

神夜

神が創りし世界
新たに選ばれし者だけが
これからの世界を創り繁栄を齎す

聖なる夜に向け初春から初秋まで
休む事なく新たな世界を創りゆく

初秋から初冬に掛け
大いなる啓示を神より受け
新たな人達を導きゆく指導者を
彼の地から呼び寄せる

祠の前で誓いを立てる
理想郷と称された世界が
かつて彼の地にあった事を
古文書より知る

嘗ての破局から数千年が過ぎ
今宵、佳境を迎える
数千年の時を得て新たな世界が
漸く神より選ばれし物に与えられる
その世界が理想郷であり、
神夜と呼ばれる聖なる夜が
多くの人達に幸せと繁栄を齎した

朝がやがて訪れる
目が覚めた時、古文書を手に持ち
神からの啓示を知る
新たな世界が完成しえた時
本当の意味での幸せと繁栄が訪れる
今宵、滔々其の時が訪れる

哀愁

哀愁漂う秋の夜
静寂が誘う漆黒の闇
修羅と化す明けの夜
心が晴れる事は二度と無い

全てが霧と化す修羅の心
人としての心は微塵も無い
全てが木端微塵に消え去れば
永遠の苦しみ哀しみから逃れられると
そう信じていた

修羅から阿修羅と化し
人だった記憶は最早消え失せ
宿るのは修羅と化した心と魂
極限まで修羅となり阿修羅と化す

永遠に享受する静寂の夜
全てが無に還り全ての思考が
今宵止まり永遠に哀愁漂う
世界だけが永遠に残り続ける

蛍夜

蛍の舞う夏の夜
魂となった日から早や数年
まどろみの中を駆け巡り
今宵新たな生を受ける

いつの日かまた君にまた逢えたらと
切に願い今日(こんにち)まで待ち続けた
その想いが今宵叶う

あの時に待ち合わせた場所へ今向かう
海辺に君を見付けた
約束の場所でそっと君を抱き寄せる

未来へ希望が舞う季節に
蛍がそっと微笑む
そう「蛍夜」に二人の絆は深まり
永遠の幸せを手に入れたから

明ける朝、新たな希望を旨に
二人は二度と離れる事無く
新たな世界で沢山の幸せと希望を
頂き、様々な試練を乗り越えていく
永遠の蛍夜が訪れ二人を祝福する

在りし日

在りし日の夜
久々に君の幻を見る
魂の宿る今宵に
漸く自らの気持ちに気付く

気が付けば魂となって
ある社にある祠に降り立つ
その昔、太古の頃より
存在し続ける身として
これから降り注ぐ試練の数々を
今宵、自ら予見する

光溢れし宿命に翻弄される
この地に天より降り立ち早や数年
今宵自らの運命(さだめ)を知り
未来を自ら決める

在りし日の朝
輝かしい未来を手に入れる
在りし日の約束
今宵二人は結ばれる
永遠という時を経て

忘郷-boukyo-

忘郷から出て早や数年
今宵ついに還り咲く

衝動に満ちた生涯
全てを掛けた在りし日

斬新さを取り柄に
今宵も魂は刹那的に
永久の修羅の道を進み続ける

微夜から微かに新たな息吹が
吹き付ける

風が止み明けの明星が見える頃
遥かに人離れした闘志を旨に
これからの試練を全て乗り越えていく

朱色に染まる
古えから伝わる呪法
呪縛から解き放たれるには
この世界から消え去るしかない

不条理を正す為に
この世界へ舞い降りたが
何一つも変わらない
変わろうともしない
そのような日々に見切りをつけたい

自らの心も朱色に染まり
取り返しのつかない状況に
自らも巻き込まれていく

輪廻が許されるのであれば
転生先が未来のある世界である事を願いたい
朱に染まった自分には最早救いの術は無い

全てが朱に染まった今宵
魂となって抜け出る自身に気が付き
最期の知らせを囁かされた
絶望に覆われる地から離れ
夜明けに朱の呪縛から解き放たれる

社にある祠の前で誓う
不条理な世界の一掃と新たな世界の創造
幸せは待っていても来てはくれない
自らの手で幸せを手に入れる為に
今朝、朱の世界に永遠の別れを