戒律

古えに囚われの身となったあの時から
早くも数千年が経った
瓦礫の外の世界を見ぬまま
今宵でこの世から姿を消す

戒律さえ存在しない空虚な世界
瓦礫から滴り落ちる傷付いた身体
漸く息絶える一時
絶望の漆黒の闇がこの地を覆う

魂が身体からそっと抜け逝く
青白い光が辺り一面を覆う
光さえ全て消えて無くなる
夜明けはもう二度と訪れない

哀愁の漂う海辺にそっと魂が浮かぶ
この地の行く末を憂う儚い一時
夜が明けることは二度とありえない
朝が訪れることはもはや決してありえない

憎しみも復讐さえももはや省みず
消えて無くなる身体に全ての別れを告げる
もう二度と抱くことの無い想い
感情さえも全て消え逝くから

戒律が消え去るその時
この地はいよいよ最期を迎える
在りし日に抱いた想いは
この日、ついに消え去る