辛帰(shinki)

生命が全て消え失せた夜
辛き帰り蝉時雨の夜更け
屠殺場という名の処刑場は未だ稼動し続けている

人生の墓場に備える花などもはや無い
敬れる事など何一つ無い
非難という名の罵声を末永く浴び続ける

蝉時雨の夏
辛帰(しんき)の夜
辺り一面は全て死を迎える

もはや希望など
この地では全て色褪せた
潰える希望に
もはや為す術は無い

五月雨に見舞う御霊の夜
清らかな精霊は全て消え
祠からは怨念に満ちた悪霊が次々と現れる

生気はもはや無く干拓には死気溢れる邪霊が
生気を纏う精霊、人(ひと)に襲い掛かる
全ての犠牲を払い、悪しき儀式は終わりを告げる

終わりの無い苦しみをずっと末永く引き継ぎながら
意識が途絶えた頃、永遠の死を迎える
辛帰(しんき)という淡き焔(ほむら)