待人

 

常世の世界であの人の還りを待ち続けている
社に横たわる冷気は何時の間にか無くなり
穏やかな雰囲気に変わり果てていた

明けの朝、寒さが続く地に
焔に似た魂がそっと降り立った
祝音を齎す為、そっとある人に授ける

授受の儀式を終え、迷いは振り切れ
常世の世界から久々に現世へ降り立つ
現世に響き渡る祝音を聴き
穏やかな旋律を奏でる草原へ赴く

草原から暫くして海浜へ移りゆく
暫しの時を経て、君の姿を見掛ける
待人である君へ漸く出逢えた時
止まっていた時間が再び動き出す
永遠の節を奏で、永遠の時を過ごし続ける