未夜

未だ訪れない夜
此の地は永久(とわ)に神々しい光が降り注ぐ
彼の地は今宵初めて夜が訪れる
いつの日か、此の地も夜が訪れる事になるだろうと
伝記に記されていた

ある日、古文書に記されていた内容を見て
驚愕の事実を知る
此の地は古えの頃に呪い(まじない)により
夜が永久に訪れないように仕向けられていた事を
もう人の手では二度と戻せない事を知る

あれから数年の月日が流れ
未夜(みよ)の地での暮らしにも慣れ
何時もと変わらない日を過ごしていた

何処かに懐かしさを感じさせる旋律が流れる
心地良い旋律で気が付けば眠りに着いていた

眠りから覚めて、辺りを見渡してみる
真夜中の風景
此の地は夜は訪れないはずだと
近くに置いていたはずの古文書を探す
古文書は無く伝記さえも無い
未夜の正体を間もなく悟る
未夜とは夢だと
夢から覚めて暫くして朝を迎え
何時と変わらぬ一日が始まる