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夢見

辺り一面に聳える夢の世界
ただ一人永久に居続ける
何故この世界に来たのか
その時は知る由は無かった

微夜(かすかよ)の世から早や3月
美しい音色を奏でる場所へ
静かに旅立つ
夜更けから明るい陽射しを
見て希望溢れる世界と気付く

凄惨な過去からようやく別れを告げ
新たな世界へ旅立つ
新たな世界…夢見た世界
争いも戦(いくさ)も無い世界
永遠の平和がそこにある
幸せをかみしめながら
新たな世界で多くの人々と
これからの未来を祝い
良き夢を現実に変えて

失地

かつて在りし日に存在していた地へ
夜中の夢見の時に旅立つ
いまでは失われた地へ
意識を遷移する

失われた時を取り戻すかのように
過去の良き日々を思い出す
幸せを得る糧を夢見の時に
暫し探し続ける

未来は幸多き世界
そう悟った時に
夢見は終わり
何時しか安らかな心を取り戻す

前向きな志を持って
これからの試練を
無事乗り越えたい

そう願う時
在りし日の面影を垣間見る
未来は自身で切り開いて行けと
そう悟る

祠の前で誓う
大切な存在、世界を護り
多くの幸せを齎したいと

幸せが世界に齎される頃
在りし日に存在していた地が
再び甦り救いとなり
永久の安らぎと繁栄を齎す

微夜

今宵、天の川に来て大切な人の事を思い出す
初めて出逢ってから数年が経過し
ますます気持ちが強くなる今日この頃

在りし日に想いを伝えようやく結ばれ
幸せな日々を過ごしている

幾つかの困難を乗り越え
ようやく幸せをかみしめる

微夜(かすかよ)からもうすぐ夜更け
未来への扉はすぐ近くまで来ている

これから共に過ごす二人に多くの幸が訪れる事を願って

惨禍に苛まれた傷跡

惨禍に苛まれた傷跡

あの頃からか…
君の事が好きになったのは…

2年前に初めて君に出会った時
今まで知り合った人々とは違う何かを感じていた。

人々に対し心を閉ざしていた自分を変えてくれた君
いつしか大切な人へ変わりゆく

数年の時を経て、某組織の構成員として
裏稼業で生計を営んでいる

頼まれる依頼は工作が多いが、時には為政者より
国内をはじめ海外の敵対勢力の頭領や幹部等の暗殺業務も
請け負っている

今の自分には背に腹は代えられない事情があるが
全てのあの為に今は歯を食いしばって耐えがたきを偲んでいる

屋根から違和感を感じる
どうも敵の工作員…いや暗殺者が紛れているようだ
銃を屋根に向けて発砲し、暗殺者の悲鳴を聞く

まだ息をしているようだ
反撃を受ける前に刺殺し止めを刺した

暫くすると保安官が来た
本件を報告すると、敵対勢力がそろそろ本格攻撃をすると
告げられ万全な備えをするよう指示を受けた

何故自分の所属組織と警察が仲が良いかというと
それもそのはず、この組織自体、為政者の手によって作られた
秘密組織だからだ

敵対勢力と書いた組織は反政府勢力
為政者からすれば絶対に存在してはならない勢力

正直いえば、この国がどうなろうがどうでもいい
が…とはいえ為政者がいなければどのみちまともに暮らしていけない
それは100も承知だ

夕刻…反政府勢力が本格的に進攻を始めた
先程の保安官から出撃指令を受け、反政府勢力との戦闘を開始する

反政府勢力の頭領は若いらしい
聞いた話によれば自分と同い年
きっと相当の切れ者何だろうなと

前置きが長くなってしまったが、この組織自体を統治しているのは
実は自分だったりするが、もはやそんな事はどうでもよい
※現場第一主義を抱えているからもあるが…

反政府勢力は思ったよりも善戦しているように見える
頭領の的確指示や構成員の士気の高さがそれを物語っているようだ

しかしながらこちらの組織も同様に士気は高く
そう簡単にケリがつくわけではないが…

暫くすると頭領らしき人物が見えた
黒い布を被っているので詳細は分からないが
きっと幾千の戦いを経験しているのだろう

本格的な戦闘から1刻が経つ頃
ようやく頭領と自分が顔を合わす

いくら為政者側・反政府側とはいえ
元はこの国に生を受け過ごした民同士
犠牲は出来るだけ最小限に抑えなければならない

普通の国なら停戦交渉でも始めるはずだが
この国にそんな考えなどあろうはずもない

ようやく結論を見出した
互いの組織から10人を選び出し1対1で決闘する

3刻が過ぎた頃
ようやく最後の決闘が始まる

どうもお互いに頭領同士での決闘のようだ
あの頭領は切れ者だけに味方に出来れば
それに越したことはないが、期待は残念ながら不可能だ

決闘準備に掛る
自分には前述の通り大切な存在がいる

そう数年前に出会ったあの人の事だ

その人と幸せな日々を過ごすために
辛酸を舐めた日々を過ごしていたから

その後、最も辛い現実を知る事になる
夢は淡き者と実感する

いよいよ最期の決闘が始まる
あの頭領がついに黒い衣を振り払った

!?

あの頭領の正体は…
…他ならぬ大切な人だった…

「何故…」

冷徹な自分にさえ、この現実は受け入れられなかった
不条理な現実を突き付けられ、現実から目を背けたかった

数刻が過ぎた頃
頭領となっていた君が話し掛ける

「どうして…」

それは自分だって同じ
正直、君と決闘する事なんて出来ない

幸い決闘までの時間が少しではあるが残されているので
互いの取り巻きに下がってもらい、中立地帯のキャンプで
暫くの時を過ごすことにし停戦した

「久しぶりだね」

暫く黙っていると、君が話し掛けてきた

「此方こそ久しぶり」

相変わらずな感じで安堵したものの
何故お互いの組織が敵対しなければならないのか
不条理な気持ちで一杯だった

聞けば大切な人達を為政者側が虐殺…それが反政府闘争に
入る切っ掛けだったという

暫くすると君から衝撃的な言葉を聞いた
実は自分も一族が為政者側によって暗殺されていたとの事

何故…今更…

衝撃的な事実を知り、言葉に出せない憤りを覚えた

暫くして君から行動を共にして欲しいと
…もう自分にはそんな資格は無いと…

それを察知した君から
昔から変わらないよね…
でも一緒に過ごしたい気持ちは昔と変わらないよと
私もこの戦いが終わったら一緒に幸せに過ごしたいと
思っていたからと

組織が敵対関係で無ければ、
すぐにでも文字通り一緒になれるのだが
この国だけでいうならそう一筋縄にはいかない

迷っているうちにさらに数刻が過ぎゆく

どうも先程から不穏な雰囲気だ…

参った…保安官というか為政者側の側近が
今の話を聞いてしまったようだ
銃を突き付けられ…為政者側につくのか
反政府側につくのか組織の頭領としての
決断を迫られた

いずれにしても自分がこの組織に入り頭領まで
上り詰めたのは
この国に真の平和と安定、幸せを齎したかったから…
何よりも君と一緒に幸せに過ごしたかったから…

答えはもう出ていた

保安官にもう協力する事は出来ないと伝え
為政者側から反政府側に寝返った

間もなく保安官を通して為政者側に伝えられ
為政者側の親衛隊と戦闘になった

為政者側に付く組織は相当少なくなったが、
依然として強く…勝利出来るかどうかは解らない
ただ、この国にそして…何よりも君の為に
全ての不条理を乗り越え、真の意味での自由を手に入れたい

今から約8年前に出した物語版「惨禍に苛まれた傷跡」を
リメイクしてみました。
実は詩版「惨禍に苛まれた傷跡」が元になっていていますが、
後半部分は物語独自の内容に仕上げました。

今後は今までに書いた詩や新たに閃いたら新たに物語を
作ってみたいと思います♪

また逢える日まで・・・

イルミネーションが街並みに広がり
独り身へ冷たい風が靡く

帰途に急ぐ理由も無く
逃れる事の出来ない現実を知らされる

三年前に降り注いだ災厄によって
暖かい想いが身体と心から全て消え去った

止めどなく降り注いだ禍を振り払うため
架の地の祠へ赴く

祠に見舞う精霊へ語り掛ける
成す術も無く放心のまま
在りし日をふと思い出す

新鮮だったあの頃へ
回帰出来れば・・・

三年前のあの日へ
還りたい・・・

いつかまた逢える日まで

微かなる忘却の夜

祠に来た御霊に問い掛け
最期の答えを手に入れる
禍いを齎す古えの願いを
今此処で撥ね退ける

精霊に扮した悪霊が
手招きをするが
意にすること無く
払い除ける

悪意を持って接する人に扮した不逞を
殲滅せしめ神霊へ吉報を伝える
太古より定めし運命に翻弄され
千年の時を迎える

忘却の湖は祠の近く
永久に忘れることの無い惨禍を
不逞生物の齎した禍として
殲滅せしめる

忘却の夜にさらなる問い掛けを
あの日の禍いを全て消し去り
永久に消え逝く惨禍に
全ての御命を捧げ

忘却の軌跡に全てを問い掛けて
在りし日の禍いは
此の夜から全て消し去れ

辛帰(shinki)

生命が全て消え失せた夜
辛き帰り蝉時雨の夜更け
屠殺場という名の処刑場は未だ稼動し続けている

人生の墓場に備える花などもはや無い
敬れる事など何一つ無い
非難という名の罵声を末永く浴び続ける

蝉時雨の夏
辛帰(しんき)の夜
辺り一面は全て死を迎える

もはや希望など
この地では全て色褪せた
潰える希望に
もはや為す術は無い

五月雨に見舞う御霊の夜
清らかな精霊は全て消え
祠からは怨念に満ちた悪霊が次々と現れる

生気はもはや無く干拓には死気溢れる邪霊が
生気を纏う精霊、人(ひと)に襲い掛かる
全ての犠牲を払い、悪しき儀式は終わりを告げる

終わりの無い苦しみをずっと末永く引き継ぎながら
意識が途絶えた頃、永遠の死を迎える
辛帰(しんき)という淡き焔(ほむら)

死光~shi-hikari~

明ける朝に最期の知らせを悲報として耳にする
幸せとは無縁の生涯を今宵で閉じる
儚き幕引きを僅かに照らす死光が遮る

意識が遠のく微かな吐息
架の世界から届く静かな美しい旋律に導かれ
架の世界へ魂は旅立つ
この世界にはもう二度と戻れないことを知りながら
敢えて辛き道を選ばざるを得なかった悲しき心
哀愁漂う世界からもはや別れを選ぶ秋の夜

冬の景色が見える頃
魂はそっと架の日に見えた惨禍を辿り
断ち切れない未練をずっと抱き
永遠に彷徨い続ける
永遠に得られない微かな幸せと淡い幻想
一生得られない幸せに死が身に付く己の弱き心

死光が照らす荒れ果てた地に
先の惨禍で命を落とした魂が迷い込む
死光に導かれた青白い魂は
死の旋律にそっと導かれながら
微かに見える神社の祠へ御霊となって帰り逝く

張り付けられた身体に新たな魂が吹き込まれる
死の旋律が鳴り止む頃
最果てに永久に眠る古えの身体は滅び
新たな身体でこの世の終わりに蘇る
この世の終わり・・・死光が消え去る時

ありきたりの幸せなど得られる資格など無い
呪われた身体など消え去ればいい
傷だらけにしてもまだ消えぬ
死に底無い身体や心など全て消え去れればいい
生きる価値すらない
淡き期待などとうの昔に捨て去った
今残るのは全ての消滅を願う心
全てを消し去りたい
もう何もかも
もうあの時には戻れない
二度と戻れない
消えてしまいたい

死の旋律が心と身体を駆け巡る頃
消えかけていたはずの死光が再び蘇る
消える見せ掛けだけの幸せ
清く正しいとずっと信じていたこの世界
虚構に満ち溢れていた矛盾だらけの社会
裏切り裏切られの日々に見切りを付け
己自身、この世界そのものの終焉を願う
ありきたりの一生など必要無い
全てが消える頃
死光が全てを消し去り
全てに終焉を齎し
全ての終わりを告げる
全ての時がこの時、終わりを迎える
残されたのは一欠片の死光と蓮華という一厘の花

幻海~maboroshi-umi~

当り一面、光さえ無い海
永遠に閉ざされた世界に存在する海
幻となり消える前の自らの魂が
幻の姿を纏い、焔の影へと消え行く

祠に消え行く生息(せいいき)と
死息(しにいき)に併せて浅瀬で消え行く永遠の死旋(しせん)

幻海(まぼろしうみ)に還りゆく綺麗さを纏う魂に
永遠の静寂が訪れることはもはやありえない
永遠の幸せが訪れることはもはや永遠にありえない

幻日~maboroshi-hi~

幻の世界で一欠片の光を見渡す
もう二度とあの日々には戻れない
全ての想いは幻となって消えてしまうから

全てはあの災いが齎した事
あの忌まわしい過去を到底許す事は出来ない
全ての忌まわしき日々

戻れぬ道を選んだ己の間違いなど
到底気付くはずも無く
この世界の消滅さえ厭わない

幻となって現れる平和だったあの世界の事を
今になってようやく回想する
もはや自らの心と身体は手遅れになる事を
知る由も無く
破滅への道を進み続ける

この身が幻となって消え行く頃
死に際に観る様々な過去の経緯が
次々へと現れゆく

叶う筈が無い想いを
唯永遠と想い続けて